工数オーバーの時のリリース方針を作る手順

writing by MASA *このコラムはiPM naviで配信しています ITプロジェクトを成功させるには、作業工数とスケジュールの見積もりが、どれだけ現実的な数字が算出されたかによります。 しかし、これらを見積るのはベテランのPMでも苦労し、算出した結果に確固たる自信を持てないものです。 ましてや、実行中のプロジェクトにPMとして招かれた場合は、前任者が作ったスケジュールと作業工数をベースにマネジメントを行うものです。 この時、前任者の見積りを信じ込んでしまうと、プロジェクトを危険に晒すこともあります。 必ず、プロジェクトの経緯・現状・未来を鑑みて、スケジュールと作業工数の再見積りを行うことが必要です。

 

監修:えのきのキャリア 2003年に大手コンサルファームにジョイン。 数年間のオープン系システムのインフラエンジニアを経験したのち、プロジェクトマネジメント関連業務へキャリアチェンジ。 以降中小から大規模までさまざまなプロジェクトにおいてPM/PMO業務に従事。 製造業、メディア、金融、官公庁など、業界を問わず経験しており、クライアントの様々な文化に柔軟に対応している。近年ではシステム関連の知識を生かし業務コンサルテイング領域でも活動中。

 

こんにちは、プロコンサルのMASAです。

iPM PREMIUMで運営しているオンラインサロンでは、プロコンサルが企業さまのPMへ個別のレクチャーやプロジェクトの後方支援を行なっています。 その活動を通じて、プロジェクトを成功に導くために活用した大手コンサルファームならではの特別なノウハウやメソッドをコラムにしています。 今回のコラムは、物流会社の情報システム部署に勤務する32歳のPMの方からのご相談となります。

 

MASAのキャリア 2004年に大手コンサルファームBにジョイン。 大手事業会社をクライアントに持ち、クライアント社内で活用する品質マネジメント基準・開発プロセス基準の策定に従事。また、PMOとしてクライアントのプロジェクト推進及び品質維持に貢献しプロジェクトを成功に導いた。 2016年に大手コンサルファームMにジョイン。

大手エネルギーインフラ会社のガバナンス部門にて、大規模システム開発プロジェクトのマネジメント品質管理に従事。PMOとしてプロジェクト運営における問題点の可視化とプロジェクトマネージャおよび上位層への改善提案によりプロジェクトを成功に導いた。

 

目次

PMからのご相談

こんな時は、こうしてみれば良いですよ!

まとめ


PMからのご相談

■相談者 物流会社の情報システム部署に勤務する32歳のPM ■相談内容 わたしは物流企業の情報システム部門に勤める32歳です。 この度、システムエンジニア職からPM職に転身しました。今回のプロジェクトで初めPMになった未経験者です。 ①現在、プロジェクトは詳細設計工程の終盤です。 ②わたしは、前任PMが見積もった工数を鵜呑みにして作業進捗を行っていました。 ③しかし、大幅に工数超過してプロジェクトが終了することが判明しました。 ④社内のシステム開発なので、工数超過の旨を伝え予算の追加をお願いしたいところですが、 ⑤弊社は数年間売り上げが低迷していて、予算を追加の余裕がありません。 ⑥このままでは、プロジェクトが破綻してしまうため、『経営側がある程度納得するプラン(落としどころ)』があればご教授ください。 相談のポイント ①相談者は、プロジェクト参加前に前任PMが立てた計画と実績の乖離分析を行わなかった。 ②相談者は、経営側へ予算追加のお願いができない。 ③相談者は、『経営側がある程度納得するプラン(落としどころ)』がわからない。 あなたが、PMであればどのように対処しますか?


こんな時は、こうしてみれば良いですよ!

このように前提条件を整理しました。 ・経営側は予算追加以外にリカバリー方法があれば聞き入れる。 ・経営側はリカバリーに必要な作業は協力する。 ・経営側は要求追加や変更の要請を行わない。 プロジェクトの途中で『作業工数の超過』が予測できる原因は、工数ミス、仕様追加、スケジュールミスが考えられます。 この場合の単純な解決策は、「予算を追加して工数を増やす」、「スコープを縮小する」「スケジュールを伸ばす」となります。 しかし、予算・スコープ・スケジュールに制約条件を持ったプロジェクトでは、これらの解決策が役に立たない場合もあります。 そのため、PMは『システムを段階的にリリース(ビジネスインパクトの強い機能を優先してリリース)』するようにプロジェクトオーナーと交渉・調整を行ってください。 まずは、このことを認識して、この問題をアプローチしていきましょう! *このアプローチはDX時代に適応したリスキリングしているPMの方にも実用的に使えます。

 

アプローチ1 EVM(Earned Value Management)を使って、現状のままプロジェクトを進めたら、『どれだけの工数超過なのか?』、『どのくらいのスケジュール超過なのか?』を分析する。 アプローチ2 工数超過の原因を仮説を立てて調査する。 アプローチ3 業務要件・システム要件からビジネスインパクトの強い機能を洗い出し、リリースの優先度を決める。 *ビジネスインパクト・リリース優先度は、プロジェクトオーナーと合意することが絶対条件である。 アプローチ4 『ビジネスインパクトの強い機能のリリース優先度』が決定したら、仮説検証の結果を参考に以下を検討する。 ・WBS ・作業工数 ・作業に必要なスキルの洗い出し ・必要なメンバーの追加や交代 ・作業スケジュール アプローチ5 アプローチ4の検討結果を『リカバリー(段階リリース)計画書』に整理して、プロジェクトオーナーの合意と承認を得る。

 
まとめ

プロジェクトを成功させる鍵は、スケジュールと作業工数であると、どんなPMでも分かっています。 しかし、これらを精緻に見積るのは不可能なことです。 見積もった数字に対して、『当たっててくれ!』と心の中で祈ることもあるのではないでしょうか?

実行中のプロジェクトに、PMとして招かれた場合は、前任者がはいスキルであっても、スケジュールと作業工数を鵜呑みにしないでください。 万が一、あなたが再見積りを行った結果、納期不可能…etcとなるのであれば、仕切り直しが必要です。 それでは、どのように仕切り直せば... これがポイント❗️ ・EVMを使って将来予測をする。 ・ビジネスインパクトの強い機能を洗い出し、リリースの優先度を決める。 ・WBS、作業工数、追加要員のスキル等を洗い出してスケジューリングする。 これらを、しっかり実施することで、プロジェクトを円滑に実行することができるでしょう。 最後まで、読んでいただき有難う御座いました。

 

わたしのコラムで、あなたのお役に立てれば幸いです。

品質管理・スコープ管理、今回のようなリスク対策、これらをコラムとして配信していこうと思ってます。

ぜひ今後とも応援を宜しくお願いします。

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