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バグ修正が起こすコストの大幅超過!


writing by えのき *このコラムはiPM naviで配信しています バグ修正が起こすコストの大幅超過!プロジェクトの締めはユーザーテスト(受入)です。

主役はクライアント!想定外の不具合も多発することもあります。 これを想定して工数や体制組まなければなりません。

しかし、ITベンダーの役割を明確にした上で、工数の算出や体制を組んでますか?

 

監修:Osamu Hirayamaのキャリア 2001年に大手コンサルファームBにジョイン。ITコンサルタントとして複数のシステム開発プロジェクトのPM・PMOに従事。 2016年よりSIerの取締役として、BtoC向けスマートフォンアプリ開発サービスのビジネススケールに貢献。 2019年にITコンサルファームを設立。大手金融会社の新規事業のIT担当として、脳機能を定期的に測定することにより、認知機能の変化を把握するシステムの開発を担当し自社ビジネスを拡大。


こんにちは、プロコンサルのえのきです。 私が参加しているiPMでは、PM初心者のスキルアップやDX時代に適応したいPMのリスキリングのサポートとして、iPM TRAININGを運営しています。 その中のオプションサービスとして、『トラブルプロジェクトの実例から学ぶ失敗しないマネジメント』をお伝えしています。 このコラムでは、読者のあなたへ、実際に私がPMアドバイザーとして参画し解決した、トラブルプロジェクトの実例を紹介します。 今回は、『バグ修正が起こすコストの大幅超過!』というテーマです。 あなたのマネジメント業務で活用できるように、解決までのアプロローチを以下の順番でお伝えします。 ・プロジェクトの状況 ・問題の設定 ・原因追求 ・解決策 ・教訓(リスク管理表へ整理)



目次


プロジェクトの状況

1.プロジェクトのスコープと体制 ・顧客は大手ネットサービス会社。 ・顧客の情報システム部で新規構開発を実施。 ・情報システム部の窓口は木村。 ・プロジェクトオーナーは情報システム部の山田。 ・システム化スコープはサービス管理、顧客管理、広告管理。 ・中堅SierのA社が開発ベンダーとして参画。 ・A社は全開発工程の成果物の納品、システムリリースの責任を請け負う。 ・A社の開発体制は業務チーム、基盤チーム、テストチーム、管理チームで構成。 ・A社のPMは佐藤(初心者PM) 2.プロジェクト目標 品質目標:100%の不具合修正 スケジュール目標:予定通りのリリース コスト目標:予算内でのシステム完成 3.プロジェクトの進捗状況 現在、プロジェクトはユーザーテスト工程であり、所要期間の50%が経過した。

想定外の不具合が多発したことで、修正工数が足りなくなり、顧客の情報システム部 木村に依頼した。 しかし、木村から 「ユーザーテストにおける工数は計画段階でFIXしている。予算を追加することはできない。」 「当初の計画通り進めてほしい」 と一蹴された。 佐藤は状況を把握しているが、具体的な問題や解決策が分からない状態である。 **守秘義務により企業名・団体名・個人名等は架空名称となります。

問題の設定

*私がアドバイザーとして、プロジェクトに参画して解決させた経緯のスタートです。 問題を考える場合は、どのマネジメント領域で発生したかを分類することで、後続のアプローチがスムーズに行え、得られた結果の根拠も説得力を持つ。 そこで、今回の問題は、プロジェクトで起きた事象を、様々なプロジェクト情報から考えをもとに考たところ『コストマネージメント領域』で発生した問題として取り扱った。 また、今回のプロジェクトの問題をこのように設定した。 ”不具合修正の発生による工数超過” また、この問題を放置することで、コスト目標を大きく逸脱する恐れがあった。


様々なプロジェクト情報とは

プロジェクト計画書、レービュー結果報告書、要求変更書、レビュー対象物、作業実績情報、作業範囲記述書、要件定義書、成果物一覧、課題問題整理表、役割分担表、要員の選定根拠、勤務表、成果物、関係者からのヒアリング結果

原因の追求

原因を特定するためには関係者へのヒアリングが重要である。 しかし、闇雲に関係者から聞き取りを行っても時間の無駄であることから原因の仮説を3つ立てた。 1.原因の仮説と検証 仮説1 アプリケーションの不具合が多く発生していた

仮説の検証

バグ管理表にアプリケーションの不具合の記載はあったか? 【 検証結果 】 アプリケーションの不具合の記載はなかった

仮説2 ユーザーテスト環境の不具合が多発していた

仮説の検証

バグ管理表に環境依存による不具合の記載があったか? 【 検証結果 】 環境依存による不具合の記載はなかった

仮説3 不具合の修正に必要な工数の算出が間違っていた


仮説の検証

有識者の算出した不具合修正の工数は計画時と同じだったか? 【 検証結果 】 有識者が算出した工数と違っていた

2.今回の問題の原因 不具合の修正に必要な工数の算出が間違っていた と判明した。 また、ユーザーテストの不具合は、総合テストまでに修正されていた思い込み、不具合修正のコストを計画に含まなかったことが分かった。

解決策

わたしは3つの解決策を準備しました。 解決策A 全ての不具合を修正して、リリース日を延期する。 解決策B 利用者の期待に反する機能のみを修正する。 解決策C 利用者の期待に反する機能のみを修正し、リリース日を延期する。 現在のプロジェクトの状況とこの解決策の案をPO山田へ提言した。 PO山田は、このような意向があった。 ⚫︎ スコープについて 利用者の期待に反する機能のみを修正することに問題なし。 ⚫︎ リリース日について リリース日の延期はできない。 このことから、解決策Bを採用した。 また、この解決策を施行することで、開発ベンダーA社は利用者の期待に反する機能の不具合を特定する調査を行うことによる工数が必要となり、計画工数を30%超過することになった。

教訓(リスク管理表へ整理)

今回の原因は、コストインパクトの大きい要件を把握していないということであった。 このような事態を、事前に回避することはできる。 それは、プロジェクト計画の段階でこれらを実施することで防止できるのである。 ・ユーザーテスト工程の予防コストと品質コストを予算に盛り込む。 ・ユーザーテスト工程のコストと品質の妥当性はプロジェクト実績からを判断する。 今回のトラブルプロジェクトをリスク管理表に整理したので、あなたのマネジメント業務で活用して頂ければ幸いである。




最後まで、読んでいただき有難う御座いました。

 


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