top of page

これがネゴシエーションを上手くやる手順

writing by えのき *このコラムはiPM naviで配信しています ITプロジェクトで、『ネゴる』という言葉をご存知でしょうか?

正確には、交渉する・折衝するということですが、IT用語では『根回し』という意味で使います。 根回しが上手なPMは、ITプロジェクトの成功事例をたくさん持っているものです。 特に、要件を確定するには様々なステークホルダーが関係する場合があります。 会議の場で要件が確定することは稀なことで、スムーズにことを進めるのであれば、やはり根回しが必要となるものです。

 

監修:MASA 2004年に大手コンサルファームBにジョイン。大手事業会社をクライアントに持ち、クライアント社内で活用する品質マネジメント基準・開発プロセス基準の策定に従事。また、PMOとしてクライアントのプロジェクト推進及び品質維持に貢献しプロジェクトを成功に導いた。

2016年に大手コンサルファームMにジョイン。

大手エネルギーインフラ会社のガバナンス部門にて、大規模システム開発プロジェクトのマネジメント品質管理に従事。PMOとしてプロジェクト運営における問題点の可視化とプロジェクトマネージャおよび上位層への改善提案によりプロジェクトを成功に導いた。

 

こんにちは、プロコンサルのえのきです。

iPM PREMIUMで運営しているオンラインサロンでは、プロコンサルが企業さまのPMへ個別のレクチャーやプロジェクトの後方支援を行なっています。 その活動を通じて、プロジェクトを成功に導くために活用した大手コンサルファームならではの特別なノウハウやメソッドをコラムにしています。 今回のコラムは、企業内のシステム開発部に勤める36歳でPM歴3年の方からのご相談となります。

 

えのきのキャリア 2003年に大手コンサルファームにジョイン。 数年間のオープン系システムのインフラエンジニアを経験したのち、プロジェクトマネジメント関連業務へキャリアチェンジ。 以降中小から大規模までさまざまなプロジェクトにおいてPM/PMO業務に従事。 製造業、メディア、金融、官公庁など、業界を問わず経験しており、クライアントの様々な文化に柔軟に対応している。 近年ではシステム関連の知識を生かし業務コンサルテイング領域でも活動中。

 
PMからのご相談

■相談者 企業内のシステム開発部に勤める36歳でPM歴3年 ■相談内容 わたしは、企業内のシステム開発部に勤める36歳でPM歴3年です。 現在の会社が3社目となり、入社して2ヶ月となります。 わたしの部署は、システムを開発するだけであり各業務部署で要件を検討しています。 ①現在、複数の部署が利用するシステムを開発しています。 ②横断的な要件がある場合は、各部署へ説明して合意を取ることになっています。 ③しかし、自部署の要件であれば素早く確定してくれるのですが、他部署の要件が自部署に影響が出る場合は猛反対されます。 ④このままでは、システムのリリースが遅れてしまうのではないかと懸念しています。 ⑤横断的な要件をスムーズに確定する方法を教えてください。 ■相談のポイント ①相談者は、ITプロジェクトの経験があるが現在の会社は入社して2ヶ月である。 ②部署間をまたがる横断的な要件に関しては、猛反対する部署がある。 ③相談者は、猛反対する部署への説得方法がわからない。


こんな時は、こうしてみれば良いですよ!

このように前提条件を整理しました。 ・猛反対する部署にも理解を示す担当者がいる。 ・各部署は、システム開発に対して妨害する気はない。 各部署にも事情があるため、二つ返事でOKは出さないものです。

そのため、各部署で理解を示している人を探して、ITプロジェクトのキーマンとするのが良いでしょう。 そして、『ネゴる(=ネゴシエーション)』をしていきます。

🗒 memo

今回の相談は、プロジェクト計画段階のコミュニケーション管理計画で考慮しておくべきテーマです。 特に、ネゴシエーションとはロジカルに行うと相手の気分を害すことなので注意しましょう! コミュニケーション管理計画の参考コラムは、こちらで解説しています↓

このようなアプローチで進めてください。

アプローチ1 各部署の人たちの力関係を確認して、だれにネゴれば良いかを決めて体制に盛り込む。 このとき、プロジェクトオーナーの承認が必須である。 アプローチ2

ネゴる相手が、他部署の要件をどのように受け止めるかを推測する。

例えば、「会計部のAさんは、営業部の要件が自部署の提携業務に大きく影響すると考えている。 そのため重要度から考えて要件の確認や意思決定の優先順位は高いだろう」のように推測しておく。 アプローチ3 ネゴる相手(意思決定者)からの猛反発を推測する。 この推測は、多ければ多いほど有効であるが、非現実的な推測は不要である。 また、ネゴる相手(意思決定者)の「折衝時のクセ(過去の振る舞い)」を第三者から聞き出して、INPUT情報とすることで正解に近い推測ができる。 アプローチ4 ネゴる相手(意思決定者)からの猛反発の対策を考える。 このとき、対策を複数考えることが大事であり「こう言われたら、ああ言おう」という具合に、猛反発意見と対策をフローチャートで整理しておく

 

ネゴシエーションはPMにとって大事なスキルです。 『ネゴったから大丈夫!』と言って、状況を悪化させるPMが多いものです。 それは、ネゴる相手を間違っているからです。 ネゴる相手とはキーマンであり、一番力の強い人から順番にネゴっていくことをお薦めします。

しかし、『力の強い人』とは、役職の高い人とは限らず、現場のご意見番が役職の高い人に影響を与えるケースもあります。 日々の顧客内の力関係を観察するのもPMの仕事です。

ネゴる相手、ネゴの順番を間違わないようにしてください。 最後まで読んでいただき有難う御座いました。

 

わたしのコラムで、あなたのお役に立てれば幸いです。

プロジェクト管理・失敗しないマネジメント、こんなようなコラムを配信していこうと思ってます。

ぜひ、今後とも応援を宜しくお願いします。

*Back Numberはこちらです↓


bottom of page