writing by えのき
*このコラムはiPM naviで配信しています
プロジェクトマネジメント初心者が陥りやすいスコープ定義の落とし穴
プロジェクトマネージャ（PM）の仕事は、品質、コスト、スケジュール、スコープ、コミュニケーション、組織、リスクといった要素を管理し、プロジェクトを成功に導くことです。
その中でもスコープ管理は、プロジェクトの成否を左右する最も重要な要素の一つです。
しかし、初心者PMが陥りやすい失敗の多くが、このスコープ定義の段階で発生しています。
本記事では、初心者PMが陥りがちなスコープ定義の失敗例を挙げ、その解決策を5つの具体的なステップに分けて解説します。
1. スコープ定義の重要性を理解する
スコープ定義とは？
プロジェクトチームは、限られた時間とリソースの中で、顧客の要求を満たす成果物を提供しなければなりません。そのためには、顧客が求める成果物と作業範囲を明確にする必要があります。これがスコープ定義です。
スコープ定義を怠るとどうなる？
スコープが曖昧なままプロジェクトを進めると、次のような問題が発生します。
要求の解釈違いによる手戻り作業
作業量の増加によるコストとスケジュールの超過
顧客との信頼関係の悪化
初心者PMが特に注意すべき点は、顧客の曖昧な要求をそのまま受け入れることで、炎上プロジェクトに陥りやすいという点です。
2. 顧客の要求を深掘りして明確化する
【失敗例】
顧客が大雑把な要望を口頭で伝えてきた場合、それをそのまま計画に組み込んでしまうと、プロジェクト途中で「こんなはずじゃなかった」となるケースが多々あります。
例えば、あるITシステム開発プロジェクトでは、顧客が「使いやすいシステム」を要求しましたが、具体的な要件が定義されていませんでした。
その結果、開発チームが独自の判断で進めた内容と顧客の期待が一致せず、完成直前に大幅な変更が必要となり、コストとスケジュールが大きく超過しました。
【解決策】
ACT1：顧客要求事項の明確化
顧客とのヒアリングを通じて、具体的な業務範囲とシステム要件を洗い出す。
曖昧な点があれば、顧客のビジネスニーズやシステムニーズを深掘りする。
作業範囲記述書（SOW）を元に、顧客要求を文書化し、顧客と合意を得る。
3. プロジェクトの除外範囲を明確にする
【失敗例】
初心者PMが見落としがちなのが、プロジェクトの対象外を明確にしないことです。
これにより、後になって「これもやってほしい」といった要求が追加され、スコープが拡大してしまいます。
【解決策】
ACT2：プロジェクト除外事項の明確化
作業範囲記述書を基に、プロジェクト対象外を明確にする。
顧客の曖昧な要求を洗い出し、対象外とする内容を明確に合意する。
4. 成果物一覧を具体的に決定する
【失敗例】
成果物が明確に定義されていないために、プロジェクト途中で「これも成果物に含まれるのでは？」といった議論が発生することがあります。
【解決策】
ACT3：プロジェクト成果物の決定
顧客から提供された作業範囲記述書や社内のプロセス資源を活用し、成果物一覧を作成する。
成果物の種類（ドキュメント、ソースコードなど）を具体的に定義し、開発工程ごとに整理する。
成果物一覧を顧客と共有し、承認を得る。
5. WBSを作成して作業を分解する
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